カズトモが部屋のドアを開けると、そこには兎男が立っていた。
「やあ、どうもどうも。お邪魔しますよ」兎男はそう言うと、靴も脱がすに部屋に上がり込んで来た。
戸惑うカズトモを他所に、兎男はリビングのソファに腰掛けるとまるで、そこにいることが当然のような声で、悪びれたところはなく、「まぁ、君も座ったらどうだい?」と誰がこの部屋の住人か分からないようなことを言った。
カズトモは仕方なくドアを閉め(鍵は開けたままだ)、混乱した頭の中で、現状を把握しようとしたが、明らかに部屋に兎男がいるこの現状は、カズトモの現実の範囲を越えていた。
「君の言いたいことは、大体わかる。だけど、ぼくは現実に確実に、存在している。現実に確実に」
カズトモはとりあえず、考えられるたくさんの疑問の中から、いちばんまともな質問を兎男にした。「これは、夢かな?」
「うーん、その答えはNOだね。だって君はついさっきまでこのテーブルで朝食の、カリカリに焼いたトーストをあんなに美味しそうに食べていたじゃないか。ぼくが思うに、これは少し焼きすぎじゃないかな」
兎男はテーブルの上に置いてある食べかけのトーストの脇に置いてある、新聞を手に取り、器用にペラペラとめくり、ある特集記事の面でとまった。
「ぼくが今日ここに来た用件は、これだよ」
それはカズトモが昨日、入稿したある事件の特集記事だった。
「こうなった以上、いまさら君にどうこう言うつもりはないけど、君はこのままじゃ、間違いなくキルされちゃうぜ」
カズトモは兎男が発音した「キル」という単語があまりにもきれいなネイティブな発音だったので、その言葉の意味が頭で理解するのに数秒かかった。
「おいおい、何をいうんだ。いきなり。このふざけた状況で、ふざけたことを言うのは止めてくれ。君が何者なのかは、この際どうでもいい。それに、もういい加減にその馬鹿げた被り物を取ったらどうだい?そもそも、ぼくがドアを開けたのは、君が管理人だというから、開けたんだ。それがドアを開けたら、変な兎の被り物した奴が、訳の分からない事をいっている。管理人と偽って入ってきたこと自体、不法侵入だ。間違いなく犯罪だ。それに気に入らないのは、君が靴をはいたままソファに座っていることだ」
カズトモは新聞の記事を見せられて、眠っていた思考が動き出し、目の前にいる不届きな兎にいっせいにまくし立てた。
「なるほど、うんうん。けど、まぁ、うぅん。そうなのかな?うんうん。まぁ、うんうん」とぶつぶつと独り言を繰り返してから、「で、アレをどこで見つけた?」とカズトモに聞いた。
「アレって、君は俺を馬鹿にしているのか!出ていっ、」
「ドリーだよ」
兎男はカズトモの言葉を遮るように、答えた。
「君の返事次第では、ぼくは君のことを助けてやってもいいと思っている」
「ドリー?何を言っているんだ。俺はそんなもの知らないし、話をすりかえるのは止めてくれ。いい加減にしないと、本当に警察を呼ぶぞ」
カズトモは兎男の顔を直視して、兎男の目玉がブドウジュースみたいに濃い赤色で、白目がまったく無いことに初めて気がついた。
よく見れば、兎男の格好はストライプのシャツにジャケット。適度に色落ちしたブルージーンズ。そして、泥だらけのブーツを履いていた。
まるで本物の兎の頭が人間にくっついているような姿で、それ以外は普通の人間の姿だった。
「君は何者だ?」
「ぼくは兎男で、それ以下でもなければそれ以上でもない。現実に確実にこれは、リアルな話であり夢ではない。そして、君はこの記事を書いた結果、ある組織から命を狙われることになる。まぎれもなくキルで、それは死だ」
兎男は、自らの指をこめかみにあてた。
「君の死だ」
そういうと、兎男の長い耳が少しだけ揺れた。
「やあ、どうもどうも。お邪魔しますよ」兎男はそう言うと、靴も脱がすに部屋に上がり込んで来た。
戸惑うカズトモを他所に、兎男はリビングのソファに腰掛けるとまるで、そこにいることが当然のような声で、悪びれたところはなく、「まぁ、君も座ったらどうだい?」と誰がこの部屋の住人か分からないようなことを言った。
カズトモは仕方なくドアを閉め(鍵は開けたままだ)、混乱した頭の中で、現状を把握しようとしたが、明らかに部屋に兎男がいるこの現状は、カズトモの現実の範囲を越えていた。
「君の言いたいことは、大体わかる。だけど、ぼくは現実に確実に、存在している。現実に確実に」
カズトモはとりあえず、考えられるたくさんの疑問の中から、いちばんまともな質問を兎男にした。「これは、夢かな?」
「うーん、その答えはNOだね。だって君はついさっきまでこのテーブルで朝食の、カリカリに焼いたトーストをあんなに美味しそうに食べていたじゃないか。ぼくが思うに、これは少し焼きすぎじゃないかな」
兎男はテーブルの上に置いてある食べかけのトーストの脇に置いてある、新聞を手に取り、器用にペラペラとめくり、ある特集記事の面でとまった。
「ぼくが今日ここに来た用件は、これだよ」
それはカズトモが昨日、入稿したある事件の特集記事だった。
「こうなった以上、いまさら君にどうこう言うつもりはないけど、君はこのままじゃ、間違いなくキルされちゃうぜ」
カズトモは兎男が発音した「キル」という単語があまりにもきれいなネイティブな発音だったので、その言葉の意味が頭で理解するのに数秒かかった。
「おいおい、何をいうんだ。いきなり。このふざけた状況で、ふざけたことを言うのは止めてくれ。君が何者なのかは、この際どうでもいい。それに、もういい加減にその馬鹿げた被り物を取ったらどうだい?そもそも、ぼくがドアを開けたのは、君が管理人だというから、開けたんだ。それがドアを開けたら、変な兎の被り物した奴が、訳の分からない事をいっている。管理人と偽って入ってきたこと自体、不法侵入だ。間違いなく犯罪だ。それに気に入らないのは、君が靴をはいたままソファに座っていることだ」
カズトモは新聞の記事を見せられて、眠っていた思考が動き出し、目の前にいる不届きな兎にいっせいにまくし立てた。
「なるほど、うんうん。けど、まぁ、うぅん。そうなのかな?うんうん。まぁ、うんうん」とぶつぶつと独り言を繰り返してから、「で、アレをどこで見つけた?」とカズトモに聞いた。
「アレって、君は俺を馬鹿にしているのか!出ていっ、」
「ドリーだよ」
兎男はカズトモの言葉を遮るように、答えた。
「君の返事次第では、ぼくは君のことを助けてやってもいいと思っている」
「ドリー?何を言っているんだ。俺はそんなもの知らないし、話をすりかえるのは止めてくれ。いい加減にしないと、本当に警察を呼ぶぞ」
カズトモは兎男の顔を直視して、兎男の目玉がブドウジュースみたいに濃い赤色で、白目がまったく無いことに初めて気がついた。
よく見れば、兎男の格好はストライプのシャツにジャケット。適度に色落ちしたブルージーンズ。そして、泥だらけのブーツを履いていた。
まるで本物の兎の頭が人間にくっついているような姿で、それ以外は普通の人間の姿だった。
「君は何者だ?」
「ぼくは兎男で、それ以下でもなければそれ以上でもない。現実に確実にこれは、リアルな話であり夢ではない。そして、君はこの記事を書いた結果、ある組織から命を狙われることになる。まぎれもなくキルで、それは死だ」
兎男は、自らの指をこめかみにあてた。
「君の死だ」
そういうと、兎男の長い耳が少しだけ揺れた。
頼みもしないのに、店員が近寄ってきて、「何かお探しですか?」だっていうもんだから、探しているのはナビゲーションなんだけど、どれを買っていいのか判らない的な返事をややいい加減に答えたら、「オススメはsonyです」と言うもんだから、別にsony信者ではないので、興味ない振りしてたら、店員がデモ機を持ってきた。
「ここが、現在位置です」と指し示した位置に俺はいる。現実に確実に。
だが、そこは新宿のヨドバシでもなければ、池袋のビックカメラでもない。
ましてや秋葉原なんて、ここ数年、近寄ってもいない。
「こちらは最新モデルでして、一番売れている機種です。オススメですよ~」
お前は何者だ?このsonyのナビを買えば俺をナビしてくれるとでもいうのか?
「うるせー、コンシクショー!」俺は店員に罵声を飛ばし、売り場から立ち去り、1階の売場の片隅でひっそりと売られているラジオを買って帰った。
テレビが一昨日、壊れたから、本当はsonyの液晶テレビ「ブラビア」が欲しかったが、店員がsonyのナビを勧めてきやがったから、何か自分の人生を馬鹿にされた様な気がして、腹が立ち、しかし何も買わずに帰ったらそれこそ負けたような気になって、別に欲しくもなかったが売場の片隅で売られている時代遅れなラジオを見つけたときに、まるで今の自分を見ているような哀れみというよりは孤独さを感じ(あるいは錯覚かもしれないが)、これまで、ほったらかしにしてきた自分を戒める意味で俺はラジオを買って帰った。
家に着き、袋から取り出したラジオはsony製だった。
ラジオからは知らないDJが何か訳の分からない言葉を言っていた。
結局のところ、俺は最初からあの店員に流されていたという訳だ。
いや、流れているというより、転がっている。
おかしくないのに、空笑いをした後、なんだか急に虚しくなり、明日SONYのナビを買いに行こう。と思ったのは言うまでもなかった。
ひとつだけ、
お前は確実に、道に迷っている。
「ここが、現在位置です」と指し示した位置に俺はいる。現実に確実に。
だが、そこは新宿のヨドバシでもなければ、池袋のビックカメラでもない。
ましてや秋葉原なんて、ここ数年、近寄ってもいない。
「こちらは最新モデルでして、一番売れている機種です。オススメですよ~」
お前は何者だ?このsonyのナビを買えば俺をナビしてくれるとでもいうのか?
「うるせー、コンシクショー!」俺は店員に罵声を飛ばし、売り場から立ち去り、1階の売場の片隅でひっそりと売られているラジオを買って帰った。
テレビが一昨日、壊れたから、本当はsonyの液晶テレビ「ブラビア」が欲しかったが、店員がsonyのナビを勧めてきやがったから、何か自分の人生を馬鹿にされた様な気がして、腹が立ち、しかし何も買わずに帰ったらそれこそ負けたような気になって、別に欲しくもなかったが売場の片隅で売られている時代遅れなラジオを見つけたときに、まるで今の自分を見ているような哀れみというよりは孤独さを感じ(あるいは錯覚かもしれないが)、これまで、ほったらかしにしてきた自分を戒める意味で俺はラジオを買って帰った。
家に着き、袋から取り出したラジオはsony製だった。
ラジオからは知らないDJが何か訳の分からない言葉を言っていた。
結局のところ、俺は最初からあの店員に流されていたという訳だ。
いや、流れているというより、転がっている。
おかしくないのに、空笑いをした後、なんだか急に虚しくなり、明日SONYのナビを買いに行こう。と思ったのは言うまでもなかった。
ひとつだけ、
お前は確実に、道に迷っている。
さて、困った。
何もやる気が起きない。
やるべきことは多々あれど、一向に気が向かない。
本を買っても、読まずにほったらかし状態。
いや、まてよ。
そういえば、自分自身をほったらかしにしてきた、ここ数年。
現在位置をロストしている。
ナビゲーションが必要だ。
何もやる気が起きない。
やるべきことは多々あれど、一向に気が向かない。
本を買っても、読まずにほったらかし状態。
いや、まてよ。
そういえば、自分自身をほったらかしにしてきた、ここ数年。
現在位置をロストしている。
ナビゲーションが必要だ。
東京とは流れる時間が違う

この場所に留まりたいという願望

でも、それはきっと一時的な感情

故郷

何もないけど、安らぐ場所

この場所に留まりたいという願望

でも、それはきっと一時的な感情

故郷

何もないけど、安らぐ場所
この街を、ほんの少し、離れます。
天気予報も、いつもと違う場所をチェックしなくては。
荷造りはまだしていない。けど、ま、いっか。

天気予報も、いつもと違う場所をチェックしなくては。
荷造りはまだしていない。けど、ま、いっか。

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